なぜ高品質な抹茶には渋みがないのか?
渋みは主に緑茶に含まれるポリフェノール類(カテキンなど)に由来し、これらは高温や酸化条件下で容易に抽出され、苦味や渋味をもたらします。高品質な抹茶は、以下の方法で渋みを避けています。
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原料の選定:
- 若葉(一番茶など)を使用:これらの葉はタンニン酸の含有量が少なく、渋味成分が少ないためです。
- 遮光栽培:茶葉は摘採前に数週間にわたり覆いをされ、葉緑素とアミノ酸(テアニンなど)の合成を促進し、同時にポリフェノールの生成を抑制します。これにより、旨味(うまみ)が増し、渋みが中和されます。
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加工工程:
- 蒸し製法:茶葉は摘採後すぐに蒸され、炒られることはありません。これにより、酵素の働きを素早く止め、酸化を抑え、より多くの旨味成分を保持します。
- 精密な石臼挽き:茶葉は超微細な粉末(粒度約5-10マイクロメートル)に挽かれ、苦味や渋味のあるポリフェノールではなく、アミノ酸が均一に放出されます。
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淹れ方:
- 通常、沸騰したお湯ではなく、ぬるま湯(70-80°C)で淹れます。これにより、高温による渋味成分の抽出を防ぎます。
- 素早く攪拌する(茶筅などを使用)ことで、旨味の拡散を促し、苦味や渋みを軽減します。
まとめると、高品質な抹茶は、栽培、加工、そして淹れ方の各工程を最適化することで、旨味アミノ酸を最大限に引き出し、ポリフェノールによる渋みを最小限に抑え、なめらかな口当たりを実現しています。