安定性と新機能のどちらを優先すべきでしょうか?

洋介 充
洋介 充
Startup ecosystem analyst and advisor with 7 years experience.

これはあまりにも古典的な問題ですね。ほとんど全てのインターネット関連チームが、日々この問題で頭を悩ませています。これは「車にとってスピードと安全、どちらが重要か?」と問うようなものです。答えは間違いなく「どちらも重要」ですが、段階によって重点を置くべき点は異なります。

例え話を使って、理解を深めてみましょう。

フェーズ1:ゼロからイチへ、まずは生き残る

起業したばかりのあなたのプロダクトは、小さなイカダのようなものです。目標は、急いで対岸まで漕ぎ着け、そのイカダを必要としている人がいるかを確認することです。

  • この時期、核となるのは「新機能」です。 イカダの核となる機能(例えば、人を乗せられる、水に浮くなど)を急いで作り上げる必要があります。迅速に試行錯誤し、このデザインがダメならすぐに次へと切り替えるべきです。半年もかけて板を磨き上げた結果、誰も川を渡りたがらない場所だと分かったら、それは無駄な努力になってしまいますよね?
  • 安定性はどうでしょう?「バラバラにならなければOK」です。 ユーザーがなんとか乗船でき、あなたの核となる価値を体験できるのであれば、少々の不具合や、たまに揺れるくらいは皆我慢できます。この段階で最大のリスケは「船が十分に安定していないこと」ではなく、「そもそも誰も乗船しないこと」です。
  • 結論:最も初期の段階では、大胆にリソースを新機能に傾け、アイデアを迅速に検証しましょう。安定性の目標は「利用可能であること」であり、「完璧であること」ではありません。

フェーズ2:イチからジュウへ、拡大期

あなたのイカダは成功しました!多くの人が列をなしてイカダで川を渡るようになり、中には料金を払う人も現れました。

  • この時期、天秤は「安定性」に傾き始めます。 ユーザーは増え続け、彼らは毎日あなたに頼って川を渡っています。もしあなたのイカダがしょっちゅう問題を起こし、今日は水漏れ、明日はオールが折れるようでは、ユーザーはすぐに我慢の限界に達し、他の船を探しに行くでしょう。評判はこうして悪くなります。
  • 新機能はまだ必要か?もちろん必要です。 これは、イカダを小さな渡し船にアップグレードしたようなものです。屋根をつけたり、ひまわりの種や飲み物を売ったりしたいと思うかもしれません。これらはあなたの成長の源です。しかし、その前提として、この渡し船が安全かつ定刻に人々を対岸へ送り届けられることを保証しなければなりません。
  • 結論:この段階では、安定性と新機能の両方を重視すべきです。「七三(しちさん)分け」や「八二(はちにい)分け」(リソースの70%~80%を新機能に、20%~30%を技術的負債の返済、バグ修正、最適化に充てる)を検討しても良いでしょう。安定性そのものが、あなたの最も重要な「機能」の一つになっています。安定なくして成長はありません。

フェーズ3:ジュウからヒャクへ、インフラ化

あなたの渡し船は、すでに川を渡る大きな橋になりました。無数の人や車が毎日そこを通行し、都市交通の一部とさえなっています。

  • この時期、「安定性」こそが全てです。 橋の信頼性は99.99%以上、あるいはそれ以上でなければなりません。どんな小さな故障でも、甚大な混乱と損失を引き起こす可能性があります。
  • 新機能の追加は非常に慎重になります。例えば、橋に展望台を追加したい場合、それは無数の議論とテストを経て、橋の構造に一切のリスクを与えないことを確認し、段階的に、小規模に開放されるでしょう。
  • 結論:成熟期に入ると、安定性が全てに優先します。全ての新機能は、システム全体の安定と安全に貢献しなければなりません。

簡単な判断方法:

  1. ユーザーの声に耳を傾ける:ユーザーは「これ、いつもクラッシュして使えない」と不平を言っているのか、それとも「もしXX機能があればなあ」と嘆いているのか?ユーザーの不満点が、あなたが今最も解決すべき問題です。
  2. 「苦痛指数」を見る:「新機能がないこと」がチームにとってより苦痛なのか、それとも「システムが不安定なこと」がより苦痛なのか?より苦痛な方を先に解決しましょう。
  3. 選択問題ではなく、配分問題として捉える:「AだけやってBはやらない」という考え方は決してしないでください。健全なやり方は、どの段階であっても、リソースの一部(例えば15%~20%)を固定的に割り当て、過去の問題の処理やシステムの最適化に専念することです。これは、定期的に部屋を掃除するようなもので、ゴミが山積みになるのを防ぎ、最終的に部屋全体が住めなくなるのを避けることができます。

要するに一言で言えば、新機能はユーザーを引きつけ、安定性はユーザーを繋ぎ止めます。 起業の妙は、この二つのバランスを動的に調整することにあります。