資本市場において、第一原理はどのように群集心理を回避するのに役立ちますか?

直樹 淳
直樹 淳
Researcher in AI, uses first principles for novel designs.

そうですね、群集心理とは「周りに流される」ことです。他の人が何かを買うために列に並んでいるのを見ると、自分に必要かどうかに関わらず、多くの人が買っているのだから間違いないだろうと思って、あなたも列に加わってしまう。株式市場では、ある株が急騰しているのを見て、大勢が飛びつくのにつられてあなたも飛びつき、乗り遅れるのを恐れる。あるいは、皆が売っているのを見て、あなたも慌てて売り、塩漬けになるのを恐れる。その背景には、理性的な判断ではなく、感情(貪欲と恐怖)が働いているのです。

では、第一原理とは何でしょうか?それは「周りに流される」のではなく、あなた自身で「そのものが本当に価値があるのか」を理解することです。

例を挙げてみましょう。あなたは人気のレストランの前に長蛇の列ができているのを見ました(群集心理)。 「周りに流される」考え方では、「わあ、こんなに人がいるんだから、きっと美味しいに違いない。私も並ぼう!」と思うでしょう。 しかし、第一原理を使うなら、まずその列を無視し、自分自身にいくつかの最も基本的な問いを投げかけます。

  1. このレストランは何の料理を出しているのか?(会社の製品/サービスは何なのか?)
  2. この料理は自分の好みか?食材は新鮮か?(この製品には市場があるか?品質は良いか?)
  3. 値段はいくらか?このお金を払ってこの食事をする価値があると思うか?(会社の評価額はいくらか?現在の株価は高いのか安いのか?)
  4. シェフは誰か?これまでの評判はどうか?(会社の経営陣は信頼できるか?中核的な競争力はあるか?)

これらの根本的な問題を理解して初めて、あなたはそのレストランに並ぶ価値があるかどうかを独自に判断できるのです。

資本市場に戻ると、第一原理とは、ビジネスの本質に立ち返り、上場企業を一つの事業として見ることです。あなたは単なるコードの羅列や変動する価格を買っているのではなく、その会社の一部所有権を買っているのです。

ですから、市場の誰もが特定の株を奪い合っている時(群集心理)でも、あなたは冷静になり、株価がどれほど賑わっていても気にせず、次のようなことを研究します。

  • この会社は何をしているのか?その参入障壁はどこにあるのか?
  • 儲かっているのか?収益力はどうか?(決算報告書を見る)
  • その業界には将来性があるのか?
  • 現在の価格は、その会社の将来の収益力に対して、高すぎるのか、それとも安すぎるのか?

これらの基本的な問題を徹底的に研究すれば、あなたの中に判断軸ができます。

もし研究の結果、その会社が単なる実体のない会社で、純粋な投機対象だと分かったら、たとえ外がどれほど賑やかで、株価がどれほど高騰していても、あなたは心を動かされません。なぜなら、それがバブルであり、飛び込めば高値掴みになることを知っているからです。これにより、群集の熱狂をうまく避けることができます。

逆に、もし非常に良い会社なのに、短期的な理由で市場から見放され、皆が売り払っている(これも一種の群集心理)のを発見したとします。しかし、あなたの研究が、その本源的価値が現在の株価をはるかに上回っていると教えてくれるなら、あなたは他人が恐れている時に自信を持って買い入れることができるでしょう。

要するに、第一原理とは、あなたに「X線メガネ」を与えるようなものです。それによって、市場の表面的な賑わいや恐慌を透視し、会社が持つ真の骨格(内在価値)を見抜くことができます。これがあれば、あなたの意思決定の根拠は他人の感情ではなく、事実と論理に基づいているため、周りの群集に簡単に流されることはありません。