学んでいる各分野、例えば物理学、化学、経済学は、まるで誰かが組み立てた既成のレゴモデル、つまり車、家、宇宙船のようなものだと例えてみましょう。
「孤立した学習」とは、これら3つのモデルの取扱説明書を受け取って、ただ丸暗記するようなものです。「車」はAパーツとBパーツを組み合わせる、「家」はCとD、「宇宙船」はEとF、というように。あなたは設計図通りに組み立てるのは得意ですが、あなたにとって車、家、宇宙船は全く関係のない別々のものです。車の組み立てに使ったパーツで家を修理するように言われたら、取扱説明書にそう書いていないので、途方に暮れてしまうかもしれません。あなたは単なる熟練した「組み立て作業員」に過ぎません。
では、「第一原理」とは何でしょうか?それは、まず取扱説明書を捨て、車や家、宇宙船といった完成形は一旦忘れることです。そして、手元にある最も基本的なレゴブロックをじっくりと観察するのです。この2x4のブロックは何に使うのか?ああ、これは安定していて、耐力壁に適しているな。この軸付きのパーツは?回転するから、車輪や可動関節に使えるな。この滑らかな薄いパーツは?表面の装飾にぴったりだ。
これらの最も基本的なブロック(つまり「第一原理」)の機能と組み合わせ方を完全に理解した上で、再び車、家、宇宙船を見てみると、それらはもはや孤立した3つのモデルには見えなくなります。あなたはこう気づくでしょう。
「ああ!車の車輪と、家の上にある回転するレーダーは、同じ『軸受』の原理を使っているんだ!」 「宇宙船の滑らかな外殻と家の床は、同じ『平滑な接合』という考え方を使っているんだ!」
ほら、このようにして繋がりが見つかるのです。あなたはもはや「モデル」という表面的なものを見るのではなく、それらの背後にある共通の「構築ロジック」を見抜いているのです。
学科の話に戻りましょう。物理学の「エントロピー増大の法則」(物事は秩序から無秩序へと変化する)と情報理論の「情報エントロピー」は、一見すると全く関係ないように聞こえます。しかし、第一原理で見てみると、それらの本質はどちらもシステムの「無秩序さの度合い」を記述しているのです。経済学の「需給バランス」と生態学の「個体群バランス」は、分野は異なっても、その核心は「動的平衡システム」というモデルであり、一方が増えればもう一方がそれを抑制するように変化し、最終的に比較的安定した状態に達します。
したがって、第一原理は、異なる学問分野の「外衣」(専門用語、公式、特定の状況)を剥ぎ取り、それらに共通する「核」(基本的な論理、数学モデル、システムの法則)に直接到達するのを助けてくれます。こうすることで、あなたの知識はもはや孤立した島々ではなく、相互に繋がったネットワークとなるでしょう。何か新しいことを学ぶとき、あなたは無意識のうちに「これの根底にあるロジックは、以前学んだあれと似ているな?」と考えるようになるでしょう。このような類推する能力は、孤立した知識の羅列を丸暗記するよりもはるかに強力です。