軽井沢は樽の選定においてどのような特徴がありますか?
軽井沢について語るなら、それはまさに伝説です。樽選びにおいて何が特別だったのかと言えば、複雑だと言えば複雑ですが、シンプルだと言えばシンプルです。
一言で要約するなら、それは「高品質なシェリー樽への偏執的なまでのこだわり」です。
例を挙げれば、お分かりいただけるでしょう。
考えてみてください。現在の多くの大手ウイスキー蒸溜所、例えば山崎(Yamazaki)などは、経験豊富なシェフのようです。彼らの厨房にはあらゆる種類の「調味料」があります。アメリカンバーボン樽(バニラやクリーミーな風味をもたらすもの)、日本固有のミズナラ樽(白檀や伽羅のような香りをもたらすもの)、そしてもちろんシェリー樽(ドライフルーツやチョコレートの風味をもたらすもの)などです。シェフは異なるウイスキーの特性に応じて、様々な樽を組み合わせて「百花繚乱」を演出し、非常に複雑で奥深い味わいを創造します。
しかし、軽井沢は違います。それは、たった一つの料理を作り、それを極限まで高めた「職人」のようです。その厨房には、スペインから輸入された最高品質のシェリー樽がほぼ一面に並べられていました。派手なことはせず、ひたすらシェリー樽という道を信じ、「この道一筋」で突き進んだのです。
なぜ、このやり方が軽井沢をこれほどまでにユニークにしたのでしょうか?
1. 強力な組み合わせ: 軽井沢が蒸溜した「ニューメイクスピリッツ」(樽に入れる前のウイスキー原酒)自体が非常に優れていました。彼らが使用したのは「ゴールデンプロミス」という大麦で、これはコストが高く収穫量も少ないのですが、作られる酒体は特にボディがしっかりとしていて、オイリーです。これは、最高級の和牛のように、肉そのものに豊かな風味があるのと同じです。そして、この「最高級の和牛」を、最も芳醇で華やかな「シェリー樽」で熟成させるのです。考えてみてください、元々力強い酒質が、最も豊かな風味の「衣」をまとえば、その味わいが爆発的にならないわけがないでしょう?濃厚なダークチョコレート、ドライフルーツ、タバコ、革、スパイスの風味は、一般的なウイスキーではなかなか到達できない重厚感を生み出します。
2. コストを度外視した昔ながらのやり方: 軽井沢がまだ稼働していた時代(2000年に生産停止)には、今のように日本ウイスキーが熱狂的に追い求められることはありませんでした。しかし、彼らは最高の、最も高価なシェリー樽を使い続けました。このようなコストを度外視した、ある意味「一途」なやり方は、当時は賢明ではないように見えたかもしれませんが、今振り返れば、このこだわりこそが、他に類を見ない伝説的な風味を形作ったのです。
まとめると:
軽井沢のユニークさは、どれほど珍しい樽を使ったかではなく、まさにその「選択しない」ことにありました。最高品質のシェリー樽のみを一途に選び続け、自身の最も力強く、最も豊かな酒体とシェリー樽との間で「真剣な対話」を繰り広げたのです。
この「重厚な」スタイルと、閉鎖・生産停止による希少性が相まって、今日私たちが知る、あの圧倒的で華やかな味わいのウイスキーの王者——軽井沢を築き上げたのです。