ウォーレン・バフェットはなぜ全ての航空株を売却したのでしょうか?これは彼の「長期保有」の原則に反するのでしょうか?

作成日時: 7/30/2025更新日時: 8/17/2025
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バフェットが航空株をすべて売却した理由とは?「長期保有」投資原則に反するのか?

航空株売却の理由

ウォーレン・バフェットは2020年のバークシャー・ハサウェイ株主総会で、アメリカン航空、デルタ航空、サウスウエスト航空、ユナイテッド航空の全保有株を売却したと発表した。主な要因はCOVID-19パンデミックが航空業界に与えた壊滅的打撃である。主な理由は以下の通り:

  • パンデミックによる業界激変:2020年初頭の世界的流行で航空需要が急減し、運航便の90%以上がキャンセル。航空各社は巨額損失・債務急増・資金繰り危機に直面。バフェットは株主への手紙で「航空業界の将来は極めて不透明」と認め、「パンデミックが業界の根本構造を変えた」と述べた。

  • 投資判断の誤りに対する自省:バフェットは2016年からの航空株投資について「米国4大航空会社の市場集中度と収益性を評価した」と説明。しかしパンデミックが航空業界の脆弱性(高固定費・燃料価格変動・外部衝撃への敏感性)を露呈したため「理解できる間違い」と認め、損失拡大防止のため即時撤退を決断。売却による損失は数十億ドルだが、継続保有の潜在リスクより遥かに小さいと判断。

  • バリュー投資の視点:バフェットは企業の本質的価値評価を重視する。航空各社の競争優位性(「堀」)が損なわれた状況で保有継続は投資論理に反すると判断。株主への手紙で「航空業界は資本集約型で外部事象の影響を受けやすく、今回のパンデミックがそれを証明した」と記述。

「長期保有」原則に反するのか?

いいえ、これはバフェットの「長期保有」原則に反せず、むしろ柔軟な適用例である。彼の投資哲学の中核「優良企業を買って長期保有」には前提条件がある:

  • 原則の本質は「質」であって「盲目的な保有」ではない:バフェットはコカ・コーラやアップルのような持続的競争優位性(「経済的な堀」)を持つ企業の保有を重視する。しかし企業の本質的価値が永続的に変化した場合、資本保護のため売却を選択する。師ベンジャミン・グレアムの「安全域」理論とも一致する「誤認を認め即時対応する姿勢」が合理的投資の一環だ。

  • 歴史的先例:バフェットはIBMやウォルマートなど、投資根拠が崩れた際の売却実績がある。2020年の航空株売却は、1990年代に繊維業から撤退し将来性ある分野へ転換した決断と同様。彼の実用主義「状況が変われば考えを変える」を体現。

  • 投資家への示唆:この決断はバリュー投資の本質「盲目的長期保有ではなく継続的評価に基づく判断」を強化。バフェットは株主への手紙で「市場変動は常態であり、永続的資本損失の回避が重要」と指摘。航空株売却で得た資金は、自社株買いやハイテク株投資などより安定した機会へ振り向けられた。

結論として、バフェットの決断は感情的反応ではなく合理的分析に基づく。長期価値への集中とリスク管理の両立——彼の全体戦略に合致する行動である。

作成日時: 08-05 08:23:20更新日時: 08-09 02:20:58