起業機会の特定において、第一原理を用いて「真のニーズ」と「偽りのニーズ」をどのように区別しますか?一見巨大な市場をどのように分解し、満たされていない根本的なニーズを見つけますか?

Cheryl Jones
Cheryl Jones
Philosophy student, exploring first principles in ethics.

良い質問ですね。これは何かを成し遂げたいと考えるほとんどの人が直面する壁です。私たちはしばしば「素晴らしい」と感じる自分のアイデアに感動しますが、市場は非常に厳しいものです。私の見解をお話ししますが、必ずしも正しいとは限りません。しかし、何らかの参考になれば幸いです。

第一原理を使って「真のニーズ」と「偽のニーズ」をどう見分けるか?

「第一原理」を難しく考えすぎないでください。簡単に言えば、既存の、当然だと思われている答えをすべて剥ぎ取り、掘り下げていき、最も核となる、それ以上分解できない「事実」にたどり着くことです。

想像してみてください。あなたはニーズを「発明」しているのではなく、すでに存在する物理法則を「発見」しているのです。

1. 偽のニーズは「解決策」、真のニーズは「根源的な欲求」です。

  • 偽のニーズ:「ワンクリックで美しいPPTを生成できるアプリが欲しい。」
  • 真のニーズ:「短時間でプレゼンを完成させ、上司や顧客を満足させたい。そうすれば昇進や昇給、あるいは受注につながる。そして、書式調整のような面倒なことに時間を無駄にしたくない。」

違いが分かりますか?「PPT作成アプリ」は単なる解決策であり、場合によっては非常に悪い解決策かもしれません。「時間を節約する、認められる、面倒を避ける」といったことこそが根源的な欲求であり、人間性です。

どう掘り下げるか?「徹底的な質問法」を使います。

ユーザーを捕まえて、3歳児のように「なぜ?」と繰り返し問い詰めるのです。

「なぜワンクリックでPPTを生成できるアプリが欲しいのですか?」 「PPTを作るのに時間がかかりすぎるからです。」 「なぜ時間がかかると感じるのですか?」 「テンプレートを探したり、画像を配置したり、位置を合わせたりするのが面倒だからです。」 「なぜこれらのことが面倒なのですか?」 「私が本当に時間を費やすべきは内容と論理を考えることであり、これらの繰り返し作業ではありません。」 「なぜ内容と論理をまとめることがあなたにとって重要なのですか?」 「そうすればプレゼンが通り、このプロジェクトを成功させられるからです。」

見てください、掘り下げていくと、根本的には「アプリが欲しい」のではなく、「雑事に邪魔されずに、効率的に仕事をこなし、良い結果を得たい」ということが分かります。これこそが真のニーズです。あなたの解決策はアプリでも、テンプレート集でも、あるいは研修サービスでも良いのです。

2. 真のニーズには「代償」が伴い、偽のニーズは「口先だけ」です。

これは最も効果的な試金石です。真のニーズであれば、ユーザーは必ず何らかの形でそれに対して「対価」を払っています。この「対価」は必ずしも金銭とは限りません。例えば、以下のようなものです。

  • 時間:彼は非常に不便なExcelシートを使って、何時間もかけてこの問題を解決していませんか?
  • 労力:彼はこの問題を解決するために、複数のソフトウェアを同時に開き、何度も切り替えながら、非常に疲れていませんか?
  • 我慢:彼は使いにくい古いシステムに我慢し、毎日不平を言いながらもそれなしではいられない状態ではありませんか?
  • 金銭:彼はすでに人を雇ったり、あまり使い勝手の良くないツールを購入したりして、この問題を解決しようとしていませんか?

もしユーザーが何らかの問題を解決するために、すでに何らかの「原始的な方法」(たとえ効率が非常に悪くても)を使っているのを見つけたら、おめでとうございます。あなたは真のニーズを見つけた可能性が高いです。なぜなら、彼はすでに「対価を払っている」のであり、あなたの任務は「費用対効果の高い」解決策を提供することだけだからです。

逆に、ある問題について尋ねて回った結果、誰もが「ああ、そんなものがあればもちろん良いね」と言うのに、「では、今はどうやって解決していますか?」と尋ねると、「ああ、そのままにしてるよ、そんなに重要じゃないから」と答えるなら、それはおそらく偽のニーズです。このような「かゆいところ」であって「痛点」ではないものは、スタートアップ企業が最も陥りやすい落とし穴です。

大きな市場を分解し、根本的なニーズを見つける方法

「飲食市場に参入したい」「教育市場に参入したい」といった言葉は、基本的に何も言っていないのと同じです。市場は一枚岩ではなく、無数の生きた「シナリオ」で構成されています。

ここで第一原理を適用するとは、既存の「業界分類」を忘れ、「人+シナリオ」に立ち返ることです。

公式は非常にシンプルです。どのような人(Who)が、どのような状況下(When/Where)で、どのようなタスク(Job)を完了したいと考えているが、どのような困難(Struggle)に直面しているか?

例として、「食事」という巨大な市場を分解してみましょう。

「火鍋、焼肉、出前」といった分類は考えないでください。これらはすべて「解決策」に過ぎません。「人+シナリオ」から出発します。

  • シナリオ1:仕事から帰ってきたばかりの若い会社員、疲れていて一人暮らし。

    • タスク:手早く簡単に空腹を満たしたい。できれば栄養があり、高すぎないものが良い。
    • 困難:料理は面倒、出前は待つ時間が長く、不健康な場合もある。
    • 機会:ミールキット?インスタント食品?「15分で健康的な夕食を」を売りにした地域の小さな食堂?
  • シナリオ2:カップル、週末の夜、ロマンチックな雰囲気を演出したい。

    • タスク:儀式的な夕食をとり、二人だけの時間を楽しみたい。
    • 困難:外食は行列ができ、環境が騒がしい。自分で作ると、買い物から皿洗いまでロマンチックさがない。
    • 機会:半調理済みの高級ステーキセットを、ワインとキャンドル付きで宅配する?「自宅でミシュラン体験」を売りにしたサービス?
  • シナリオ3:3歳の子供を連れたママ、昼間にショッピングモールにいる。

    • タスク:食事をする場所を見つけたい。早く、健康的に、子供も食べられるものがあり、じっと座っていられる場所が良い。
    • 困難:大人向けのレストランは油っこく、子供には不向き。子供向けレストランは行列ができ、味は普通で大人は楽しめない。
    • 機会:「子連れの親」のために特別に設計され、健康的な子供向けメニューがあり、小さな遊び場があり、同時に大人も美味しい食事ができる親子レストラン?

どうですか?私たちは「市場規模」や「業界レポート」には一切触れず、漠然とした「食事」を無数の具体的な「片付けるべき仕事」(Jobs-to-be-Done)に分解しました。

それぞれの「タスク+困難」の組み合わせは、潜在的な、満たされていない根本的なニーズです。あなたのチャンスは、ハイディラオ(海底撈)と市場を奪い合うことではなく、特定のシナリオにおける特定の困難をハイディラオよりも上手く解決することにあるのです。

私の素朴な方法をまとめます。

  1. 真のニーズと偽のニーズを区別する:ユーザーが何を言っているかではなく、何をしているかを見る。徹底的な質問法で彼の最も根源的な欲求を掘り下げ、彼がすでに何らかの(たとえ非常に不器用な)方法でその苦痛に対して「対価を払っている」かどうかを確認する。
  2. 大きな市場を分解する:業界分類を忘れ、「人+シナリオ」に焦点を当てる。「片付けるべき仕事」のフレームワークを使い、大きな問題を、あなたが着手できる無数の具体的な小さな問題に切り分ける。

十分に苦痛な「困難」を見つけ、それに対して現時点で最高の「解決策」を提供すること。これが良い機会の始まりです。