Cheryl Jones
Cheryl Jones
Philosophy student, exploring first principles in ethics.
おっしゃる気持ち、よく分かります。まるで「車がどうやって動くのか」を知りたくて分解し始めたのに、結局ネジや部品の山を前に呆然として、なぜ分解したのかさえ忘れてしまうようなものです。これはまさに「第一原理」の使い方が間違っている例です。
この状況を避けるには、いくつかの方法を試してみてください。
1. 常に「本来の目的」を持って分解する
第一原理は「分解するため」に分解するのではなく、「特定の問題を解決するため」に分解するものです。一歩深く掘り下げるたびに、自分に問いかけてみてください。「これを明らかにすることは、最初に解決しようとした問題に役立つだろうか?」と。
- 例:「資産運用を学ぶ」とします。
- **偽の第一原理:**資産運用 → 通貨 → 通貨の歴史 → 金本位制 → ブレトンウッズ体制... 世界経済史まで学んでしまったけれど、明日どのファンドを買えばいいのかは依然として分からない。
- **真の第一原理:**私の目的は「お金の価値を減らさず、できれば増やすこと」だ。では、なぜお金の価値は減るのか?インフレだからだ。インフレとは何か?実需を超える通貨発行量のことだ。では、どうすればインフレに勝てるのか?インフレ率を上回る利回りの資産を探すことだ。どんなものがある?株式、投資信託、不動産... お分かりでしょうか?この道筋は常に「問題解決」を目指しており、一歩一歩の分解が目標達成に近づけてくれます。
2. 「一時停止」と「再構築」のポイントを設ける
闇雲に分解し続けないでください。1、2段階分解したら、一度立ち止まり、分解して得られた基本的な要素を「再構築」してみてください。それによって、より明確な理解や解決策が生まれないか確認するのです。
- 再び資産運用の例:「資産」という段階まで分解し、株式、投資信託、債券といった基本的な要素を発見したとします。ここで一度立ち止まるべきです。そして「再構築」を始めます。
- 「もし一部のお金を株式(高リスク高リターン)に、一部を債券(低リスク低リターン)に投資すれば、リスクとリターンのバランスが取れるのではないか?」
- 見てください、あなたは「株式とは何か」「なぜ企業は上場できるのか」といったさらに深い分解には進まず、現在のレベルで、分解して得られた部品を使って自分なりの解決策を「組み立て」始めたのです。
3. 分解と実践を組み合わせる
知識をどれだけ細かく分解しても、それは地図に過ぎません。実際に車を運転して道を走ってみる必要があります。
分解を通じて得られた仮説や方法が生まれたら、すぐに試してみてください。たとえごく小規模な試みであっても構いません。
- 例えば、第一原理によって「習慣形成」の本質が「きっかけ → ルーティン → 報酬」というサイクルであると理解したとします。それ以上ドーパミンの分泌メカニズムを研究する必要はありません。すぐに小さな目標を設定しましょう。毎日腕立て伏せを10回する(ルーティン)、終わったら好きな曲を1曲聴く(報酬)、スマホにアラームを設定する(きっかけ)。この最小モデルを実践することで、この原理に対する理解は、100本の記事を読むよりもずっと深まるでしょう。
まとめると、次の3つの言葉になります。
- なぜ出発したのかを忘れないでください。 (目標を固定する)
- 数段階分解したら、一度立ち止まって組み立て直す。 (分解と再構築の繰り返し)
- 組み立てたものを実際に使ってみる。 (実践で検証する)
第一原理思考の最終目的は、知識の考古学者になることではなく、最も基本的なレンガで、自分が望む家を建てられる建築家になることです。重要なのは「建てる」ことであり、単に「レンガを研究する」ことではありません。